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抽象喜劇(退治屋作者の超日常?改め)

川中島…

私は、川中島で戦果を上げた部下達を待つため、陣屋から出かけ、
屋外に椅子を置き、それに腰掛けていた。
なかなか吉報が来ない…
左馬助の悲報、勘助、等々、
私の大切な戦友、部下達が失われたという最悪の報告は来た物の…吉報には無縁だ。
私はうちひしがれていた。

一時の後、馬に乗っているある人物が来た…
私の命を狙うことは間違いないが…
一人だけで襲いに来るというのはどうした了見な物か??

乗馬の人物の顔を見た。
珍しい、僧形ではあるものの鎧甲を身につけた…男装の…決して麗人ではないが、女性であることはほぼ間違いないだろう…
ただ、女性がなぜ戦場に…
その女性は…
「大膳大夫様ぁ(はぁと)」
と、不細工な笑みを私に向け私をしばし見つめると、
何事もないかのように去っていった…
私は、軍配を上げて不細工な顔を見ぬようにしたはずだが…時すでに遅かった。

私は、この戦いで何も得ることなく兵を引いた。
しかし、あの不細工な顔が目に焼き付いたまま二度と離れないことになったら、
この戦いは、負けだと言うことかもしれない……私の方が。
by hokutoff | 2006-11-07 23:05 | その他物語